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米で修行中に家族震災死、ダンサーの映画1月上映
米国でダンスの修業中、阪神大震災で家族三人を失ったニューヨーク在住の尾松陸代(むつよ)さん(39)の十年を追ったドキュメンタリー映画「ダンシング・ウィズ・ライブズ—命と舞いながら」が、来年一月十五—十七日、実家跡近くの神戸・新開地の映画館で上映される。悲しみを乗り越え、夢のブロードウェーを目指す舞台に立った女性と、それを支えた人々の姿。不条理な力で愛する者を奪われた人間の生きざまを、同じ神戸出身の女性映像作家が描いた。
モダンダンスを学ぶため渡米して三年半。その日、尾松さんは友人の電話で震災を知った。実家に電話したがだれも出ず、翌朝、親類から「みんな、だめだったんよ」と連絡が入った。
一月十九日、兵庫署の安置所で無言の再会。うどん店を営む実家は全壊し、父隆典さん(五十九歳)、母美枝子さん(五十五歳)、弟宏理さん(二十四歳)が下敷きになった。「これが最後の対面になる」。三人の顔を脳裏に刻み込んだ。
足が不自由な美枝子さんはミュージカルや演劇が大好きだった。「骨をうずめるつもりでやりなさい。でも、だめならいつでも戻っておいで」。夢を託され、励んできた。
当時はプロダンサーの登竜門、オフ・ブロードウェーでの公演を控え、リハーサルの最中。「ステージに立つのが唯一、私にできること」と、すぐに米国に戻ってダンスに打ち込んだ。
その姿を記録しようと、友人で神戸出身の横間恭子さん(40)(カナダ在住)が、カメラを回した。
約八十分の映画は、尾松さんが神戸から戻った時から始まる。悲しみをこらえ、ひたすら踊った。二か月後。本番は満場の拍手を浴び、ニューヨーク・タイムズに称賛の記事が掲載された。一人前になるまではと、一度も客席に呼ばなかった母を身近に感じた。芸術家仲間は、彼女のためにコンサートを開いてくれた。ユダヤ系米国人の夫(57)と結婚、一男一女をもうけ、引退した。
震災の傷が癒え始めた時、同時テロが起きた。サイレンに緊張する日々。「人生って、つらいもんだよ」。夫の両親は温かく見守ってくれた。二人は第二次世界大戦下、ナチスのホロコーストで長男を失う過去を背負っていた。「義父母の悲しみが、私の悲しみも包み込んでくれた」と尾松さんは振り返る。
上映は、「天国の家族にも見てもらいたい」と、実家そばの「アートビレッジセンター」に決まった。
尾松さんは「映画は、改めて震災の現実と向き合うきっかけになった」とし、横間さんは「震災でも戦争でもテロでも、亡くなった人の数だけ記憶を抱えて生きる人がいる。人の強さと弱さを描きたい」と編集に励んでいる。
2004年12月9日読売新聞大阪版掲載 (転載許可済み)
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